画家の安野光雅氏がソルボンヌの学生と話していた時のこと、「講義の時間だからそろそろ行かなきゃ」と学生が言った。安野氏が「勉強はimportant(重要)だからね」と言うと、その学生は「勉強はimportantではない、interest(面白い)だよ」と返したそうだ。▼非常に示唆的なエピソードだ。日本人にとって、勉強とは「重要だから」するものになっている。試験に必要だから、勉強する。学校教育の目的が、実質的に大学受験のためのものになっており、「面白いから」勉強するという面がほぼ抜け落ちてしまっているのだ。試験のためだけに勉強し、終われば全て忘れてしまう。これでは「勉強なんて役に立たない」と思われても仕方がないだろう。勉強へのこのような観念や諦観を取り除かない限り、表面的な学力向上策をいくら行ってもたいした効果はないだろう。