瞳の色は人種により異なり、そのせいで人種による色の感じ方や色の好みの違いなどが生じているという話がある。しかし、これは間違っている。瞳の色は、物の色の見え方に影響を与えない。▼瞳の色とは正確には光彩の色のことだ。光彩はカメラで言えば絞りに該当し網膜に入る光の量を調節する役目を持ち、光彩は光を通さない。光は瞳孔を通るが、これは人種によらずみんな黒色だ。瞳孔を通った光は網膜に至り、その信号が脳に伝わり光の知覚が生じる。このように、光彩の色は物の見え方には影響しない。▼もし人種による色の好みの違いがあるとするなら、それはおそらく文化的要因によるものだろう。色の分類は言語により異なり、例えばロシア語には日本語の「青」に該当する言葉はない。こうしたことが、各文化における色に対する興味の持たれ方に影響を与えているという事はあり得る。