#005 夜空はなぜ暗い

夜空はなぜ暗いのだろう。唐突な疑問ではあるが、実は宇宙の成り立ちを考える上で重要な意味を持つ興味深い問いだ。この問いから、宇宙の有限性が導かれる。どういうことか。もし仮に宇宙が無限であるとすると、星もまた無限に存在することになる。遠くの星ほど光の強さは距離の2乗に反比例して弱まるが、一方で星の存在数は距離の2乗に比例して増大する。結果的に両者の効果は相殺され、無限の彼方からも近い所からと同じだけの光が届く。もし宇宙が無限であったなら、夜空は大量の光で満たされるはずだ。しかし実際には、夜空は暗い。ここから、宇宙の広さは有限だという結論が得られる。▼この話はオルバースのパラドクスと呼ばれ、さらに考えを進めれば宇宙の膨張やその起源にまで話は行き着く。夜空の暗さという当たり前の事実から壮大な宇宙論にまでつながる素敵な話だと思う。