数学する能力の生物学的基盤についての議論。<数に対する生得的な感覚(数覚)>と<抽象的な表象能力>の2つが数学を可能にした。前者は動物にも見られるが後者は人間に固有な心的能力。足し算を計算する時、概算をする状況では頭頂葉の数・空間処理系を用いるが、厳密な計算をする際には人は言語を用い、前頭葉の言語関連領域が活動する。言語を含むシンボル的な表象能力が数学(特に算術以上の高度な数学的能力)には重要だが、数学的思考は必ずしも言語によるのではなく、パターンに対する推論や洞察のプロセスが発見をもたらし、論理的証明はその後でなされる。