#020 子供の目

新聞の投書に昔こんな話が載っていた。幼稚園くらいの子供が両親と一緒に空港へ行った。祖父母を見送るためだ。飛行機は飛び立ち、どんどん遠のいていく。それを見た子供がこう言った。「おじいちゃんたちが小さくなった」。▼小さくなっていく物体には、2つの可能性がある。1つは自分との距離が遠のいて行っている可能性で、もう1つはその場でサイズが小さくなっている可能性。子供は2番目の解釈をした。例えば丸いボールがあって、遠くへ行けば小さくなる。ところがある距離まで離れると、しぼんで小さくなっているのか遠のいて小さくなっているのか区別できなくなる。この区別できなくなる距離が子供の場合は大人よりも狭い。こうした空間認識能力の問題と、飛行機は縮まないという知識の欠如のせいで、子供が見た世界の中でおじいちゃん達は「小さく」なってしまったのだろう。