小さい頃から絵を描くことは好きだった。良く描く題材は決まっていて、汽車と城と軍艦。どういうわけかこの3つが妙に好きで、描くものが決まらないときはいつもそれを描いていた。模型のパッケージの絵を参考にして描いていたと思う。汽車ならD-51、城は姫路城、軍艦は大和や赤城。どれも模型を持っていたから資料には困らない。どうしてこうしたものを描くのが好きだったんだろうと考えてみると、たぶんそれは「形が複雑だから」だったのかなと思う。汽車の車輪、城の屋根、船の艦上構造物。どれも複雑で、その線を一つ一つ描いていくのが楽しかった。その時の自分にとっては、絵を描くことは模型を組み立てることと感覚的に同じだったと思う。自動車とか飛行機とかはほとんど描くことがなかったけど、今その理由がわかった。形が単純すぎて「組立て甲斐がない」からだったんだ。