#026 電信柱

画家の山口晃さんがNHKの視点・論点で「電信柱の美」について語っていた。時に景観を乱すものとして弾劾されることもある電信柱だが、これは日本の風景に馴染むものではないだろうか、と。電信柱の立ち姿を華道に例えて説明していたのが面白い。まるで彼岸花のようだと写真を見せつつ言っていたが、言われてみれば確かにそう見えてくる。西洋では電線は早くから地中化されていったが日本ではそうはならなかった。冬枯れの木が青空にすっと伸びる様子や蜘蛛の巣が陽に透かされて光る様子など空間の中に線的な要素を見出す観賞力が日本人にはあり、これは線で絵を作って来た日本人ならではのものだろうと。マッスや面でものを見る西洋の文化に電柱はそぐわなかったのかもしれないが、日本の風景の中では電柱の持っている線的な要素は溶け込みやすいものだったのではないだろうか、と。