#034 ダ・ヴィンチの世界風景

レオナルド・ダ・ヴィンチの代表作である『モナ・リザ』の背景には不思議な光景が描かれている。乾燥した大地に岩山という、全く生気を感じさせない荒涼とした世界風景が描かれている。これは『キリストの洗礼』『岩窟の聖母』『聖アンナと聖母子』などレオナルドの他の絵の背景でも同様だ。なぜ彼はどこか異世界を思わせるこのような奇妙な風景を描いたのか。繰り返し描いたということは何か意図があったと思われるが、説明は残されておらず私たちはただ推測するしかない。▼レオナルドは大洪水による世界の破滅という予言を信じており、絵の荒涼とした光景はその大災害を受けた後の世界を描いたものだという説がある。また、地球が進化して現在のようになる前の原始の地球を描いたのだとする考えもある。荒涼とした背景と対照的なモナリザの微笑を前に、絵の謎と魅力は増すばかりだ。