鉄を削る―町工場の技術 (ちくま文庫)

「鉄を削るというたったひとつの作業を、あるときは切るであり、あけるであり、揉む、挽く、なめる、さらう、掘る、たてる、くる、えぐる、刮ぐであったりといった使いわけをするのを見るとき、彼等が獲得しているものの豊かさにびっくりする」 町工場の旋盤工として50年間鉄を削る仕事を続けてきた作者が語る、仕事の話、技術の話。

AXIS (アクシス) 2009年 02月号 [雑誌]

佐藤雅彦。”新しい分からなさ”とは、わからないけれど少なくともそのわからなさは初めてのわからなさだということだけはわかるというもので、今後ある枠組みが自分の中に生まれた時にそれを克服する、分かることができるというある種の期待を含んだ表現のこと。

銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎

配分された初期パラメーターの違いで文明ごとの勝敗はもう始めから決まっていたようなもので、100回歴史を繰り返しても100回新世界の文明はユーラシアの文明に負けることになるのかもしれないと思わされます。それにしても、歴史の成り行きに病原菌がこんなに大きな影響を与えていただなんて知らなかった。

心と脳――認知科学入門 (岩波新書)

認知科学の総論。各論には深入りせず各領域の歴史的な展開や相互の影響に力点が置かれているのでこの分野の広がりを展望するのに向いてます。オンラインに本書の参考文献リスト有り。 http://www.ayu.ics.keio.ac.jp/references/cognitivescience/

あの人の研究論文集 No.2 Vol.1

技術を無駄遣いすることによって情報科学研究とコンテンツの分野の双方に新しい刺激を与えている,と判断された選り抜きの論文16件をまとめた研究論文集(同人誌)

あの人の本

あの人(@_anohito)の発言の中から選りすぐりの100件をセレクト。含蓄のある言葉が多いけど中でも好きなのは “遅れは拡大する. それが鉄道の教え.”。

エブリシング

ファーブル昆虫記が面白い理由は、それが「虫を知らぬ人にも解るからであり、そのひたむきな観察と、仮説と、実験をつみ重ねて、新しい発見に至る過程、つまり科学の方法に感動するからであり、その記述が詩のように美しいからである」と。

絵のまよい道

『岡倉天心 人と思想』という本の中の次のエピソードが面白い。絵にとって音とは何かという問題。「下村観山が屏風の弁財天の絵を描いていた所、岡倉天心がやってきて絵を眺め、多くの点を称揚したのちこう言った。『が、しかし、下村君、弁財天の奏でられる撥のさえは明らかに見えながら、肝心の琵琶の音が、この画面のどこからも聞こえて来ない。それでは、画としての意味が完全ではない』」

認知インタフェース

認知の部とUIの部とであまり話のつながりが無いような。表示メッセージの文体を変えるだけで機械に性格を持たせることが出来るという話は面白かった。

「ハンバーガーを待つ3分間」の値段―企画を見つける着眼術

再読。ゲーム開発者が日常の気付きを自由に語るエッセイ。表面的にはやさしい言葉で書かれてはいるけれど、人の認知や社会システムやマーケティングなど様々な領域につながる深い内容を持っている。こうしたことを、学術書からではなく日常生活の中から自分で経験的に見出してしまえるという所に優れたクリエイターの才能というものを感じます。